骨の話

 

がっつり人の骨の話なのでご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくは一回だけ、人の骨を見たことがある。祖父のものだ。

一昨年の秋に亡くなったが、よく考えたら一周忌にぼくだけ参加していないことを思い出した。忙しかったのも事実だが、まぁその事実よりも何倍も大きかったのが何故行かなきゃならないんだろう、だったわけだけど。

 

葬式は休みをとって行った。

骨を骨壺に入れる作業は、どちらかといえば落とさないようにという緊張であまり覚えていない。この骨はどこの部位だとか、そういったことを説明されて、変なのと思ったことは覚えている。

棺のなかには花や葉っぱを入れた気がする。特に覚えていない。そうして棺が運ばれて、ご飯を食べて、しばらくたったあと、骨になっていた。

 

 

 

ぼくの記憶では、特に骨に色がついていたことはないのだけれど。たまに、骨が何色かに染まってることがあるらしい。

 

迷信というかなんというか、噂では「ガンの人は色が変わる」「薬のせい」「体調が悪かったから」など、大抵病気と治療のせいにされることがほとんどだが、実は違う。

骨に色がつくのは、棺に入れた「花」のせいだ。

紫の花を入れたからといって紫色に染め上げるとは限らない。残りやすい色素があるだろうし。それに、やっぱり年齢なんかでも染まりやすさは変わってくるだろう。でも不思議だ。花で染めあげられるなんて。

 

もし心ない人が、骨の色を見て、骨が有り得ない色になっていたとして、汚れていると言っても、それは副作用でも病気でもなんでもなく、お花の色なのだ。それを説明して理解してもらうのは大変だろうから、ぼくはちゃんと理解しておきたい、知っておきたいと思った。あなたが汚れているなんて、そんなことはない。

 

もし気になるのであれば、やっぱり棺には何も入れないのが最良の選択だろう。

だけど、ぼくなら、棺に大量の花をいれて欲しいな、と思った。グラデーションになるように、ぼくが花で染め上がったなら、なんかちょっとおもしろいんじゃないか。

 

さすがに、それを本気きって親に伝えることはしなかったけれど。